路上がおもしろい①

グアダラハラに来てまず一番印象的だったのが、路上でいろんな日用品や飲食物を売っていることだ。メキシコシティーには及ばないものの、そこら中の路上で商売が行われている。店に近い作りのものから、布を地面に敷いて商品を並べただけというものや、手で持てるだけの花や帽子、おもちゃを持って売っている人までいる。そしてその中では子供が物売りをしている比率もかなり高い。
飲食物はタコスからタマーレス、ポソーレなどが路上で定番の味である。これらを店の中で味わうのは考えられないし、路上で食べるからおいしい。
交差点では、信号が赤になるといっせいに、ジャグリングのパフォーマンスや自動車の窓吹きの人、花売り、お菓子売りが車の運転手の方へ群がっていく光景が見られる。
もし路上での商行為を禁止してしまったら、僅かながらの収入をこれらの行為で得ている膨大な都市貧困層の生計が成り立たなくなるだろう。(当然行政からの、都市を「環境浄化」しようとする圧力との、緊張関係におかれているが。)店を借りて商売するのにはかなりの元手がいるし、高い土地代を定期的に払い続けなければならない。路上では土地代がただだなのであり、物は店で買うより当然安い。インフォーマルセクター研究が明らかにしてきたように、都市での人々の生存維持保障の要として、路上の風景を捉えることができる。
また路上はおそらくグアダラハラだけで数千人以上に及ぶ野宿者や、お金のカンパを求めることで生活する人々と出会う場所である。特にそれらの人々が集中するセントロ(中心街)の高級ショッピング街は衝撃的である。ありとあらゆるものがお金を持っていれば手に入る一方で、極端なまでの貧富の格差を見せ付けられる。繁華街の一見豊かで、秩序だったその風景は金持ちだけが自由の空気を満喫できる「自由」しかこの社会には存在しないことを逆説的に写す鏡のようである。

自動車の窓拭きのおじさん

飲食物の路上での販売